根付師の自由で新たな挑戦に出会える、清宗根付館の11月「秋の名品」展

京都の清宗根付館では、11月の「秋の名品」展で、根付師たちの自由で新たな挑戦が込められた作品が展示されています。清宗根付館は、現代根付を中心に根付を専門に紹介する美術館として、企画展を開催しています。
根付は「粋と洒落の芸術」とも呼ばれ、大衆文化の審美眼の中で育ってきたおおらかさと親しみやすさを持っています。暮らしに潤いをもたらす笑いや可笑しみ、悲しみにそっと寄り添う優しさを宿し、ときには明日への活力を与えてきました。今年もそうした根付の魅力を存分に発揮した作品が集まりました。さまざまな作家たちが熟達した技巧を凝らした作品で競演する様子は、まさに百花繚乱です。

次世代の作家を後押しする「ゴールデン根付アワード」
清宗根付館は、根付の次世代を担う作家の育成を目的に、優れた発想と高い技法を備えた作品を毎年ノミネートし、最優秀作品にゴールデン根付アワードを贈っています。回を重ねるごとに作家同士が切磋琢磨し、技巧を凝らした作品が生まれるようになってきました。
このアワードは同館にとって年に一度の最大のイベントです。根付文化の継承を目的に、現代作家による自由で新たな挑戦を奨励するため、2014年から毎年授賞式が開かれています。同館で展示された新作根付の中から、総合的に優れた技術や発想を持つ作品を対象に、財団役員の審査によってグランプリが決まります。作家たちはグランプリを目指して創意工夫を重ね、新機軸を打ち出そうと意欲的に制作に取り組んでいます。

「秋の名品」展で出会える受賞作品
展示されている根付の一部として、時代を継承し、未来を見据えた挑戦を続ける作家たちの受賞作が紹介されています。
THE GOLDEN NETSUKE AWARDS グランプリ
- 「地獄太夫」:作者は栗田 元正(1976~)。大きさは高3.3cm、素材は鯨歯。室町時代の遊女がモチーフで、「現世の不幸は前世の戒行が拙いゆえ」と自ら地獄大夫を名乗り、衣には地獄を繍い、心では仏を唱え、口では風流の唄をうたったとされています。
- 「本、出合い」:作者は山本 伊多呂(1961~)。大きさは高5.1cm、素材は黄楊。作品解説では、本とは未知との出会いであり、遠く距離を隔てた異邦人であろうと過去の偉人であろうと、書物という舟に載った言葉の連なりは時空を超えて届けられる、と述べられています。
THE GOLDEN NETSUKE AWARDS 優秀賞・特別賞
- 「A愛」(優秀賞):作者は髙木 喜峰(1957~)。大きさは高5.5cm、素材は鹿角・ハイブリットオパール・アルミ。驚異的な技術の進化を遂げているロボットが、アダムの林檎に象徴される禁断の果実を持った未来とは何かを問う作品で、ロボットの顔は愛を象徴するハート型になっています。
- 「輝き」(特別賞):作者は黒岩 明(1949~)。大きさは高2.0cm、素材は朝熊黄楊・漆・象牙。数万光年も彼方にある宇宙の銀河から地球を望むという壮大なテーマを根付のサイズにまとめており、さまざまな技巧が凝らされています。
- 「ハヌマーン」(特別賞):作者は岡本 百々(1984~)。大きさは高5.5cm、素材は鹿角。インド神話の猿神で、体の大きさを変えられ、さまざまな武器を持ち、空も飛べる万能の戦士だったことから、のちに孫悟空のモデルになったといわれています。

京都の歴史ある邸宅で根付文化を伝える美術館
清宗根付館は、公益財団法人 清宗財団代表理事・館長であり、佐川印刷株式会社 取締役名誉会長でもある木下宗昭の「日本が育んできた優れた伝統文化をその価値と共に国内で守り伝え、広く世界へ発信していきたい」という発意により、文化首都・京都に設立されました。日本で唯一の根付を専門とする美術館です。「新たな挑戦」と「絆」をむね(宗)とし、根付と根付をめぐる文化の継承・創造・発展を目指しています。<魅せる><育む><繋がる>を使命に掲げ、地域と皆さまに開かれた美術館として活動しています。
同館は、佐川印刷のメセナ事業による支援のもと、2007年9月に開館しました。建物は京都市の指定有形文化財「旧神先家住宅」で、京都市内に現存する数少ない、武家屋敷と京町家の特性を併せ持つ郷士(上層農民)の邸宅です。館内には現代根付約400点が展示されています。所在地は京都市中京区壬生賀陽御所町46番地1です。
出典:佐川印刷株式会社


