「1回目は大失敗、2回目は成功」創業70年超の3代目社長が事業承継の経験を書籍化『ファミリーガバナンスの教科書―託す力×継ぐ力の鍛え方』

ビニールカーテンなどのプラスチック製品を通じて、職場と環境の改善に取り組む石塚株式会社。その代表取締役社長である熊谷弘司氏が、自身の経験をもとにした書籍『ファミリーガバナンスの教科書―託す力×継ぐ力の鍛え方』を、2026年10月29日に中央経済社から刊行しました。中小ファミリー企業の経営者が直面する事業承継について、実体験を踏まえた解決策をまとめた一冊です。

2度の親族内承継で得た「失敗」と「成功」
石塚株式会社は、創業者が熊谷氏の祖父、2代目が父、そして熊谷氏が3代目にあたる中小ファミリー企業です。熊谷氏はこれまでに親族内での事業承継を2回経験しています。1回目は大失敗に終わり、第二世代の親族とは絶縁状態になりました。一方、2回目はその反省を活かし、もめない事業承継を実現しています。この成功を受けて、取引先や親族企業の2代目・3代目経営者から「どうやったらこんなにうまくいくのか?」といった相談や問い合わせが多く寄せられたといいます。
熊谷氏が失敗から導き出した結論は2つあります。1つ目は、事業承継で起こる問題の多くは、事前の準備でほとんど対処できるということ。2つ目は、その対処法のほとんどは体系化でき、多くの会社に応用できるということです。こうした独自のメソッドを自社内にとどめず、事業承継に課題を抱える中小企業の経営者に向けて公開したいという思いから、今回の書籍化に至りました。なお、同社は今年1月15日から、中小ファミリー企業に特化した事業承継支援のコンサル事業も始めています。
熊谷氏は、もともと会社を継ぎたくなかったと語っています。その理由の一つが、事業承継で絶縁状態になった親族を目の当たりにしたことでした。経営者として奮闘する中で、承継のもめごとに悩む経営者や後継者、家族が非常に多いことに気づき、「そのような経験をされる人を一人でも減らしたい」という強い思いが執筆の原動力になったといいます。
「後継者不在」だけではない、事業承継の課題
同社によると、日本の企業の95%以上は中小ファミリー企業で構成されています。中小企業庁によれば日本の企業の総数は約360万社で、そのうち99%以上が非上場企業です。また、経営者が65歳以上の企業は約50%超まで増え、そのうち約50%が後継者不在と予測されています。裏を返せば、残りの半数にあたる約90万社では、後継者候補がいながらも65歳以上の経営者が経営を続けているのが現状です。
事業承継の問題というと「後継者不在」ばかりが注目されがちですが、実際にはほぼ同じ割合で「親族内承継がスムーズに進んでいない」という問題も存在します。中小ファミリー企業の承継では「事業」「家族」「所有権(株式)」とマネジメントすべき変数が多いにもかかわらず、その事実を知らない経営者が多く、準備不足のまま承継に臨んだ結果、もめる会社が後を絶たないといいます。
“事業”“所有”“家族”のスリーサークルで読み解く
本書の基本的な考え方は、承継についてのルールを内包した経営をするべきではないか、というものです。ファミリー企業の場合、事業承継には「家族」が絡むため、ドライなビジネスパートナー同士とは異なり「感情問題」が起きやすくなります。本書では事業承継の本質を「役割の再定義」と捉え、先代がいつまで、どこまで経営に口をはさむのか、きちんと退くのか、そして何をもって「承継完了」とするのかといった基本について、“事業”“所有”“家族”のスリーサークルをマネジメントして成功に導く方法をわかりやすく解説しています。
主な内容
- 事業承継は、なぜ大切なのか
- 事業承継の選択肢を整理する(贈与、譲渡、MBO、M&A、廃業など)
- 石塚株式会社事業承継で起きたもめごと
- いつかくる事業承継を織り込んだ経営
- 「事業承継あるある」と対処法
- 経営者のための事業承継20問20答
- 株を引き継ぐための三つのポイント
「創業者あるある」「事業あるある」「株式あるある」「家族あるある」といった切り口で典型的なつまずきと対処法を紹介するほか、「ファミリーガバナンス」とは何か、帝王学は必要か、意外と大事な「母親」の役割といったコラムも収録されています。
こんな人に向けた一冊
- 50歳以上の現役経営者
- これから事業承継を行う予定の後継者
- 就業・非就業を問わず、創業家の親族
- ファミリー企業に勤める親族外の幹部社員
書籍情報
- 書籍名:ファミリーガバナンスの教科書―託す力×継ぐ力の鍛え方
- 著者:熊谷弘司
- 出版社:中央経済社
- 発売日:2026年10月29日
- 定価:本体2,500円(税別)
- 体裁:A5判
- 販売:Amazon、楽天ブックス、中央経済社ビジネス専門書オンライン
著者の熊谷弘司氏は1982年生まれ、東京理科大学理工学部卒業。一般企業を経て2010年に家業の石塚株式会社に入社し、新市場開拓や海外生産の立ち上げを手がけました。前回の事業承継の失敗経験を活かし、家族の協力のもとでもめない事業承継を成功させ、2018年に三代目の代表取締役社長に就任。2023年には第14回千代田ビジネス大賞を受賞しています。
出典:石塚株式会社


