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樹皮の紙と18kmの古道。「スタン・アンダソン展 古道再生」が北軽井沢・ルオムの森で開催

樹皮の紙と18kmの古道。「スタン・アンダソン展 古道再生」が北軽井沢・ルオムの森で開催

造形作家スタン・アンダソン(1947–2015)の回顧展「スタン・アンダソン展 古道再生」が、北軽井沢の洋館「ルオムの森」のギャラリーで開かれます。主催は、群馬県長野原町北軽井沢に本社を置く有限会社きたもっく(代表:福嶋誠)です。会期は2026年10月17日から12月13日までで、入場は無料です。重機を使わずに自然素材と手道具だけでよみがえらせた18kmの山道の記録や、倒木の樹皮を手漉きした紙の作品などが並びます。

樹皮の紙と18kmの古道。「スタン・アンダソン展 古道再生」が北軽井沢・ルオムの森で開催

手道具だけで18kmの古道を、再び歩ける道に

スタン・アンダソンは、アメリカ・ユタ州ソルトレイクシティの生まれです。大学で哲学と心理学を学び、1966年に初めて日本を訪れた際、縄文土器などの原初的な造形に魅了されました。その後、美学校で日本の伝統木工を学びます。やがて、流木や石、古タイヤ、竹といった自然素材や廃材を互いに支え合わせる「環境造形」へと表現の軸を移していきました。

2004年、彼は吾妻郡六合(現・中之条町)に拠点を移します。そこで、地域で途絶えかけていた18kmの生活古道を、重機を使わず、自然素材と手道具だけで再び歩ける道へと整えました。山にある素材だけで足場や橋を架けたこの営みは、山歩きそのものを一つの大きな造形表現として捉えたものでした。会場では、「人がくぐり、登り、座り、関わる」ことのできる空間をつくり続けた彼の歩みを、当時の記録写真や愛用の道具とともに紹介します。

スタン氏が追い求めたのは、「作品を風景の中に置くのではなく、風景を作品の中に取り込むこと」でした。そして「人が関わることで成立する造形」も探り続けました。浅間高原北麓を中心に林業や薪エネルギー事業、キャンプ場などを手がけ、「自然に従う生き方(ルオム)」を探求するきたもっくは、こうした作家の活動が、自社の目指す「森と人の関わり」と深く通じ合うものだったとしています。

樹皮の紙と18kmの古道。「スタン・アンダソン展 古道再生」が北軽井沢・ルオムの森で開催

倒木の樹皮から生まれる紙と、森の気配をまとう造形

作家は、山で見つけた倒木の樹皮を手作業で剥ぎ、煮て、叩いて、独自の風合いを持つ手漉き紙をつくりました。会場には、その紙を使った次のような作品が並びます。

  • 貝と紙の作品:日本海で拾った貝殻と樹皮の紙を組み合わせ、型を使わずにフクロウ、カエル、ヘビなどの生きものをかたちにしたもの
  • 地図の作品:樹種によって異なる樹皮の色合いを置き分け、自ら整備した古道や地域の地形を1枚の紙の上に描き出した連作

さらに、流木、竹、動物の骨などを組み合わせた立体作品や「クマ」の展示などにより、空間全体で森の豊かな息づかいを体感できます。このほか、ドローイングや愛用の道具、記録資料も展示されます。出品作品の一部は、購入・受託販売に対応しています。

会場は浅間高原北麓最古とされる洋館

会場の「ルオムの森」は、大正9年(1920年)に建てられ、浅間高原北麓で最古とされる洋館を中心とした観光施設です。「ルオム(LUOMU)」はフィンランド語で「自然に従う生き方」を意味します。生前のスタン氏も度々この洋館を訪れ、代表の福嶋氏と会話を重ねていました。展示は1階のホール・カフェと2階の展示室で行われます。敷地内には、石窯薪焼きピザのピッツェリア「キコリピッツァ」、自社生産の蜂蜜「百蜜(ももみつ)」が並ぶショップ、マウンテンバイクパーク「キタカルバイクパーク100」もあります。

開催にあたり、パートナーのさゆり・アンダソン氏は「時を経て尚、作品の持つ大きなエネルギーを感じ取っていただければ幸いです」とコメントしています。また、スタッフがスタン氏の想い、とりわけ古道再生への思い入れを汲み取って形にしてくれたことに触れ、一人でも多くの来場者に彼の自然志向とあふれるパワーが伝わるよう願っていると語りました。福嶋氏は、暮坂の森で出会ったスタン氏について、道なき道を歩き回り、質素な生活感覚と豊かな感性で森と共生していたと振り返ります。そのうえで、彼と会話を重ねた洋館で展覧会を開催できることへの感謝を述べています。

樹皮の紙と18kmの古道。「スタン・アンダソン展 古道再生」が北軽井沢・ルオムの森で開催

10月31日は作家が再生した古道を歩くツアーも

関連イベントとして、スタン・アンダソンが自ら手を入れて再生させた暮坂高原の古道を、ガイドとともに歩く散策ツアー「六合(くに)の山を歩く会」が1日限定で開催されます。参加は無料で、事前予約制です。

  • 開催日時:2026年10月31日(土) 10:00集合 〜 13:00頃解散(小雨決行)
  • 集合場所:花楽の里(群馬県吾妻郡中之条町大字入山4046-2)※登山口まで送迎あり
  • コース:暮坂高原古道(往復約3〜4km/標高差約200m、石碑までの約2時間の山歩き)
  • 定員:15〜20名(先着順・事前予約制)
  • 参加費:無料
  • 持ち物・服装:歩きやすい靴、雨具、防寒着、飲み物
  • 申し込み:電話(0279-84-1733)にて受付
  • 主催:有限会社きたもっく

展覧会の開催概要

  • 展覧会名:スタン・アンダソン展 古道再生
  • 会期:2026年10月17日〜12月13日
  • 営業時間:10:00〜17:00(カフェラストオーダー 16:30)
  • 定休日:火曜
  • 会場:ルオムの森(1階ホール・カフェ、2階展示室)
  • 所在地:群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1984-43
  • 入場料:無料
  • 主催:有限会社きたもっく

出典:有限会社きたもっく