紅葉の秋川渓谷が舞台、テーマは「野生とAIのあいだで」 芸術祭「つくる!あきがわアートストリーム2026」11月6日開幕

一般社団法人クリエイティブクラスター(東京都檜原村)は、東京の源流域・秋川渓谷(檜原村・あきる野市)で芸術祭「つくる!あきがわアートストリーム2026」を開催します。アート展示の会期は2026年11月6日(金)から12月6日(日)までです。6回目となる今年は「野生とAIのあいだで」をテーマに掲げました。秋川流域の4会場で6組の作家による展示と2つのプロジェクトを展開するほか、焚き火と音楽が一体となった「森の焚き美音楽祭」や、地域の人々が手がけるカルチャー体験も用意されています。
主催者は、テーマの背景として現在の状況を挙げています。AIやバーチャルなイメージが日常に入り込み、「山にクマ、都市にAI」という語りが広がるなかで、情報が現実より先に立つ時代になりました。だからこそ先鋭的な表現者たちは、身体を通じた実感や自然との直接的な関わりにも関心を向けている、という考えです。深い森と清らかな水、野生の生命と人々の営みが息づく東京最西端の秋川渓谷で、AIとフィジカルな世界を行き来する作品が古民家や山郷の風景と呼応します。

焚き火を囲む一夜のセッション「森の焚き美音楽祭」
今年のメインイベントは、11月15日(日)に森に囲まれた野外フィールドで開かれる「森の焚き美音楽祭」です。紅葉の森が夕暮れのマジックアワーに包まれる時間帯に、焚き火を囲んで演奏が繰り広げられます。出演は、打楽器だけでグルーヴを生み出す熱狂打楽器集団LA SEÑAS(ラセーニャス)です。LA SEÑASは2026年にアルバム『熱狂の彼方へと紡ぐ』をリリースし、全国ツアーのファイナルを恵比寿LIQUIDROOMで開催しました。さらに、LA SEÑASが実践する即興演奏メソッド「Rhythm with Signs」の考案者で、アルゼンチンから来日する音楽家Santiago Vazquez(サンチャゴ・バスケス)も登場します。ジャズ、ロック、舞踏などを横断して祝祭的なステージを重ねてきた渋さ知らズは、本祭のための特別編成「あきがわ焚き火」セッションを披露します。
LA SEÑASのリーダー・織本卓さんは、普段は都会のフロアで演奏することが多いと話します。そのうえで、澄み切った森のフィールドでは打楽器の圧倒的なサウンドをフィジカルに感じられ、熱い時間を素晴らしい景色と心地よい環境のなかで過ごせるとして、「一緒に焚き火を囲みましょう!」と呼びかけています。
- 開催日:2026年11月15日(日)
- 時間:16:00~19:00
- 会場:多摩あきがわLiveForest自然人村(東京都あきる野市深沢198)
- アクセス:JR五日市線「武蔵五日市」より徒歩20分(里山の風景が続く道)。駅にはタクシーもあり
- 出演:LA SEÑAS/Santiago Vazquez/渋さ知らズ “あきがわ焚き火” セッション
- 入場料:4,000円+1ドリンク(芸術祭周遊パスポート込み)。ローソンチケットで前売り中(Lコード:73553)
- 周遊パスポート保有者は、会場で2,500円の追加料金を支払うと入場可能

メディアアートからゲームまで、山郷に現れる作品たち
アート展示には、メディアアート、絵画、AI、ゲームなど多彩な表現のほか、地域の素材に向き合いながら制作された作品が並びます。式根島で海中美術館のプロジェクトを展開してきた韓成南さんは、今回は舞台を東京の山に移しました。檜原村内のある場所に設置した作品を起点に水と山をめぐる新作を制作し、古民家を活用したアートセンター「アーツキャンプひのはら」で展示します。関連イベントとして、11月22日(日)に作品上映会&アーティストトーク、11月28日(土)に渓谷を舞台にしたダンス&ドローンのパフォーマンス公演が、いずれも兜家旅館(檜原村数馬2612)で行われます。詳しい時間や参加方法は公式サイトで順次発表される予定です。
野生動物と人間の関係や民話・伝承をテーマに絵画を描く岡本瑛里さんは、檜原村の和紙作家とともに漉いた和紙に、山梨の山火事で生じた炭を使って描いた新作を発表します。森の生態系を神秘的に描いた作品などとあわせ、払沢の滝の遊歩道沿いにある「ギャラリーやまびこ」で展示します。AI分野の研究者・起業家としても活動する現代美術家の窪田望さんは、映像作品《AIが消し去る声》がPrix Ars Electronica 2026のDigital Humanity部門でHonorary Mentionに選ばれるなど、国際的にも評価されています。今回はAIがもたらす現実と向き合った絵画と、国際的に発表を重ねてきた映像作品を、「アーツキャンプひのはら」に残る養蚕の歴史を伝える屋根裏ギャラリーで紹介します。
彫刻家の中谷健一さんは、デジタル時代のビジュアルイメージを手仕事で物質へと落とし込む作家です。木彫りのクマなどの民芸品にデジタルノイズを思わせるグリッチ表現を加え、見慣れた造形を異化する作品で知られています。「クマ」という情報が人々の意識を揺さぶる檜原村に、クマの置き物をハックしたかのような彫刻が登場します。東京藝術大学で油画を学んだUNA SHIGEMURA(重村侑奈)さんは、ゲームを通じて人と人の新しい関わり方を探るアーティストです。プログラミング未経験からAIと対話しながら制作を進め、わずか半年でゲーム機そのものをつくりあげました。2026年の藝大ゲームコース展では、学部生として唯一招待展示されています。今回は檜原村ならではの体験型作品を「アーツキャンプひのはら」で展開します。
プロジェクト展示では、東京の山郷に息づくクマの存在を、情報としてのイメージではなく地域の暮らしや文化のなかから捉え直す「くまのワンダールーム」を実施します。クマの剥製や村の狩猟具、木彫りクマのアーカイブなどを通じて野生と人間の関係を見つめ直す内容で、アートワークとして中谷健一さん(彫刻)と途中でやめる(服)が参加します。あわせて、秋川渓谷の自然と暮らしのなかで実践するサステナブルファッションの展示など、地域のつくり手とアーティストによるプロジェクトも行われます。会場は滞在型サテライトオフィス「ヴィレッヂヒノハラ」です。両プロジェクトのキュレーションは、「ヴィレッヂヒノハラ」主宰でクリエイティブディレクターの清田直博さんが担当します。

見るだけでなく「つくる!」、山郷の文化体験
2021年に檜原村の古民家で始まったこの芸術祭は、東京の最奥に位置する檜原村からJR武蔵五日市駅のあるあきる野市まで、秋川流域を舞台に広がってきました。2025年からは「つくる!」を合言葉に、地域の人々が主体となる文化体験づくりにも取り組んでいます。今年は檜原村の和紙づくりや山の野生動物について知る体験、音楽やパフォーマンスなどの「つくる!」プログラムをさらに広げます。文化体験はアート展示の会期だけでなく、2027年1月31日まで地域各所で展開されます。主なコンテンツは以下のとおりです。
- 森の書塾(11月15日・日):書家・川邊りえこさんによる書の体験。山の頂に位置する国重要文化財「小林家住宅」で開催。周遊パスポートで参加でき、予約は不要
- 檜原の草木で和紙をつくろう(11月29日・日):和紙作家・北村春香さんを講師に、檜原の草木を使った和紙漉きを体験。「アーツキャンプひのはら」で開催。予約不要、周遊パスポートで参加可能
- 秋川渓谷・奥多摩の絶景映像(アート展示公開日):ドローングラファー・岡部敬祐さんが秋川渓谷・奥多摩の風景をとらえた映像を「兜家旅館」ロビーで上映展示。観覧無料
文化体験プログラムの内容や日時、参加方法は公式サイトで順次発表されます。

開催概要
- 名称:つくる!あきがわアートストリーム2026
- テーマ:野生とAIのあいだで
- 開催地域:東京都西多摩郡檜原村・あきる野市五日市地区
- アート展示会期:2026年11月6日(金)~12月6日(日)
- 公開日:金・土・日曜日、11月23日(月・祝)
- 公開時間:10:30~16:30
- 主な展示会場:アーツキャンプひのはら(檜原村樋里4258)、ギャラリーやまびこ(檜原村本宿635)、ヴィレッヂヒノハラ(檜原村本宿790-2)、フレア五日市(武蔵五日市駅前。過去の「あきがわアートストリーム」の展示記録で構成したウエルカム映像を上映)
- 展示鑑賞料:周遊パスポート1,500円(18歳以下無料)
- 文化体験プログラム:2026年11月6日~2027年1月31日、地域各所で順次開催
- アクセス:JR五日市線「武蔵五日市」駅を起点に、西東京バスで檜原村方面の各会場へ。会場の詳細は公式サイトで確認
- 主催:一般社団法人クリエイティブクラスター
- 後援:檜原村・あきる野市
- 助成:アーツカウンシル東京[地域芸術文化活動応援助成]
- ARTE TOKYO(東京国際文化芸術祭)パートナープログラム
- ディレクター・キュレーション:岡田智博
出典:クリエイティブクラスター


