92歳を迎えた筒井康隆の掌篇集『カーテンコール』が新潮文庫で登場 令和に書かれた25篇を収録

9月24日に92歳を迎えた作家・筒井康隆さんの作品集『カーテンコール』が、10月28日に新潮文庫から発売された。収録されているのは、令和に入ってから筒井さんが書いた掌篇小説25篇。単行本の刊行時に筒井さんが「これがわが最後の作品集になるだろう。」と語り、大きな話題を呼んだ一冊が文庫になった。

「最後の挨拶」を意味するタイトル
筒井さんは1960年のデビュー以来、昭和、平成、令和と60年以上にわたって第一線を走り続けている。本作のタイトル「カーテンコール」は、舞台上で行われる「最後の挨拶」を指す言葉だ。
単行本が刊行された際、筒井さんが「最後の作品集になるだろう」と語ったことは、文学界や愛読者たちを騒然とさせた。作家の小川哲さんは「波」2023年11月号で、〝『カーテンコール』はそのタイトルに相応しく、著者の集大成ともいえる作品集だ。〟と評している。
笑いも涙もドタバタも詰まった25篇
収められた作品は、笑いあり、涙あり、ドタバタありと多種多彩な顔ぶれとなっている。
オールスターが集結する「プレイバック」ほか
書籍の内容紹介は、「時をかけて来たのかい――おれは少女に訊ねた。」という一文から始まる。収録作には、芳山和子や唯野教授、パプリカら筒井作品のオールスターキャストが集結した「プレイバック」、森の中の不思議な居酒屋で、むかし通っていた銀座の店の女性と再会する「お時さん」、古い日本家屋で暮らす兄と妹を叙情的に描いた「夜は更けゆく」、謎の集団から町を護るため商店街で銃を構える老人たちを描いた「武装市民」などがあり、全部で25の掌篇が並ぶ。
内容紹介では、本作を「懐かしく、甘美で、悲しく、胸に迫り、ドタバタで、愛おしい、豊穣無比な宝箱」と表現している。
文庫解説は川上弘美さん
文庫版の解説を担当したのは作家の川上弘美さん。川上さんは解説の中で「『カーテンコール』には、二十五篇の掌篇がおさめられている。初期から始まり今に至る筒井康隆の、多彩で広がりのあるさまざまなかたちの小説の、これは見本帳とでもいうべきものになっているように、わたしには感じられる」と書いている。
著者プロフィールと書籍情報
筒井康隆(つつい・やすたか)さんは1934(昭和9)年、大阪市生まれ。同志社大学卒。1960年に弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊し、この雑誌が江戸川乱歩に認められて「お助け」が〈宝石〉に転載された。1965年に処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年に『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年に『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年に「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年に『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞した。
1996年12月には、3年3カ月に及んだ断筆を解除。1997年にパゾリーニ賞、2000年に『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞し、2002年に紫綬褒章を受章。2010年に菊池寛賞、2017年に『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞している。ほかにも『家族八景』『敵』『不良老人の文学論』『老人の美学』『ジャックポット』『カーテンコール』『筒井康隆自伝』など著書多数。単行本の最新刊は『筒井康隆、九十歳のあとさき』。
- タイトル:カーテンコール
- 著者名:筒井康隆(つつい・やすたか)
- 発売日:10月28日
- 造本:文庫版
- 定価:693円(税込)
- ISBN:978-4-10-117159-3
- 発行:新潮社(新潮文庫)
出典:株式会社新潮社


