「キムタク」「マック」の呼び方に表れる関係とは 川上徹也さん『あだ名の正体』11月11日発売

「友だちをあだ名で呼んではいけません。名字にさん付けで呼ぶように」。こうしたルールを設ける小学校が増えており、SNSでは「息苦しさの象徴」「理解できる」と賛否両論の声が渦巻いています。そんな「あだ名」をテーマにした一冊、『あだ名の正体 ──なぜうれしくて、なぜ傷つくのか』(ちくまプリマー新書)が、筑摩書房から2026年11月11日に発売されます。著者はコピーライターの川上徹也さんです。

あだ名のよしあしを決めるのは、呼ばれる本人の「同意」
あだ名には、仲間意識を生み、お互いの距離を縮める言葉としての側面があります。その一方で、相手を深く傷つける暴力になることもあり、ときには権力者を笑い飛ばす武器にもなります。さらに、あだ名は人間関係だけでなく、私たちとモノとの関係にも深くかかわっていると本書は指摘します。
本書は、あだ名禁止に賛成か反対かを決めるための本ではありません。あだ名のよしあしを決めるのは呼ぶ側のセンスではなく、呼ばれる本人の「同意」だという考え方に立ち、あだ名を入口にして、人と人との距離、同意、権力、そして名前が持つ不思議な力を読み解いていきます。
有名人の愛称から、ペットやAIの名前まで
本書が扱うのは、学校の中だけの話ではありません。有名人を「キムタク」「ガッキー」「りくりゅう」と愛称で呼ぶと親しみを感じるのはなぜか。恐い先生や権力者にひどいあだ名をつけたくなるのはなぜか。ペットやぬいぐるみ、AIに名前をつけたくなるのはなぜか。そして「マクドナルド」が「マック」「マクド」と呼ばれるようになったのはなぜか。呼び方には、私たちが相手と結びたい関係が表れているといいます。
中高生だけでなく、大人にも向けた内容です。「さん付け」は壁なのか、それとも相手を尊重する手すりなのか。「ちゃん付け」は親しみなのか、子ども扱いなのか。あだ名で呼び合う会社では関係が変わるのか。学校・家庭・職場などで毎日使っている「呼び方」を問い直す一冊で、あだ名について考えることは、人と人との距離について考えることだと位置づけています。
全6章の構成
本書は「はじめに その呼び方は、なぜうれしくて、なぜ傷つくのか」に始まり、以下の6章と「おわりに」で構成されています。
- 第1章 呼び方には、人と人の「関係」が表れる
- 第2章 あだ名のよしあしは、「同意」で決まる
- 第3章 あだ名は、上を向くと武器になる
- 第4章 会ったことのない人を、なぜ愛称で呼ぶのか
- 第5章 返事をしないものに、名前をつける
- 第6章 商品や作品のあだ名は、誰がつけるのか
各章には「『さん』は壁なのか、手すりなのか」「テレビの『いじり』と、教室の『いじり』」「『坊っちゃん』の狸と赤シャツ」「あなたは『推し』を、何と呼んでいますか?」「体を持つAIは、こちらに向かってくる」「略されるコンテンツ名はヒットするのか」といった項目が並びます。
著者・川上徹也さんと書誌情報
川上徹也(かわかみ・てつや)さんは、コピーライター・日本語探究家。大手広告代理店勤務を経て独立し、東京コピーライターズクラブ新人賞、広告電通賞、ACC賞など受賞多数。ネーミングのプロとして、数多くの商品やサービスの「名前」や「呼ばれ方」を考案してきました。日本語の魅力を掘りおこし、世界へ伝えていくことをライフワークとしています。著書多数で、海外にも数多く翻訳されています。
- 書名:『あだ名の正体 ──なぜうれしくて、なぜ傷つくのか』(ちくまプリマー新書)
- 著者名:川上徹也
- 発売日:2026年11月11日(11月9日配本)
- 頁数:176頁
- 定価:990円(税込)
- ISBN:978-4-480-68567-4
出典:筑摩書房


