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「普通に暮らしているように見えて、心は完全に孤立していた」――特殊清掃の現場から孤独死を見つめる『ルポ孤独死の現場』10月28日発売

「普通に暮らしているように見えて、心は完全に孤立していた」――特殊清掃の現場から孤独死を見つめる『ルポ孤独死の現場』10月28日発売
孤独死現場の布団と畳に残った体液痕。亡くなってから発見まで時間がかかると、遺体は腐敗し、溶けてしまう。
孤独死現場の布団と畳に残った体液痕。亡くなってから発見まで時間がかかると、遺体は腐敗し、溶けてしまう。

特殊清掃の現場を知る著者が描く、孤独死の実像

特殊清掃会社「関西クリーンサービス」を運営する亀澤範行による新刊『ルポ孤独死の現場』が、2026年10月28日に幻冬舎新書から発売されました。232ページで、定価は1,100円です。

書籍の紹介では、孤独死の現場の様子が描かれています。エレベータを降りた瞬間から鼻につく死臭、玄関の扉を開けると飛び交う大量の蝿、畳を通り抜けて板間にまで染み込んだ体液の痕跡。それは、誰にも看取られることなく死後を迎えた故人の慟哭(どうこく)だったと表現されています。孤独死した方の遺族の9割が口にするのは、「まさか、自分の身の周りでこんなことが起こるなんて……」という言葉だといいます。

コロナ禍以降、リモートワークなどのデジタル化が急速に進み、人と対面する機会が減りました。その中で、人知れず亡くなる人が増え、孤独死はより顕在化した社会問題となっています。一方で、現場が凄惨であることから、その実態は関係者からあまり語られてきませんでした。

現場の状況と近親者の証言から、孤独死に至った要因を探る

本書では、現場の状況に加えて近親者の証言をもとに故人の過去をたどり、孤独死に至った要因も探っています。失業や離婚、家族の死などに直面した人は、精神的な落ち込みも重なって部屋を一人で片付けられなくなり、他人との接触を極端に避けるようになる。そして居住スペースもゴミで埋まり始める――。人はある日突然孤立するのではなく、順調に社会生活を送っているように見えても、実は孤独を抱えてセルフネグレクト(自己放任)に陥っている人は少なくないと本書は伝えています。2000年代初頭から10万件超の現場を見てきた著者が、これから本格化する超高齢化社会の実像と、その解決策も示しています。

構成は、「孤独死は現代社会の縮図」と題したプロローグと「ファイル0:あなたの家族や友人にも『孤独死』の可能性はある」に続き、次の5章と最終ファイルで展開されます。

  • 第1章 現役世代も危ない ――孤立と貧困の果てに
  • 第2章 「片付けられない」は孤独死の前触れ ――なぜ「ゴミ屋敷」にしてしまうのか
  • 第3章 おひとりさまのペット問題 ――飼い主に依存する「命」とどう向き合うか
  • 第4章 「家族」から孤立する人たち ――家庭崩壊が生む孤独
  • 第5章 「元気そうな親」とどう向き合うか ――見えづらい老いと病気
  • 最終ファイル:遺された家族が抱える「消えない後悔」

各章には、「コロナ後から増え続ける『若者』の孤独死」「『他人に頼るのが苦手』駅直結、タワマンエリート」「物を捨てられない『ためこみ症』という病」「単身者の『多頭飼育』が抱えるリスク」「定年後の『熟年離婚』で一人寂しく」「病を隠し、元気に振るまっていた母」など、具体的な事例を扱ったファイルが収められています。

ゴミの山が天井まで積み上がっているケースも。
ゴミの山が天井まで積み上がっているケースも。

「この現実を知ってほしい」著者が込めた思い

著者は、孤独死や孤立死が深刻な社会問題となっている一方で、自死や孤独死がニュースで報じられる機会は極端に少ないとの印象を受けると語っています。著者の会社には、孤独死現場の特殊清掃や遺品整理の依頼が毎日のように寄せられているためです。これほど多くの人々が人知れず亡くなっているにもかかわらず社会的な関心が薄いのが現状であり、だからこそ、まず「この現実を知っていただきたい」という強い思いで執筆したといいます。

著者によれば、孤独死や孤立死は社会的な「孤立」から始まります。ただし、ひと口に孤立といっても、家族がいる人もいれば、普段は友人と明るく会話を交わしている人もいて、自分が孤立している事実にまったく気づいていないケースも少なくありません。本人に自覚がないため誰にも悩みを相談できずにふさぎ込み、「友人や家族、パートナーに打ち明けても問題は解決しない」「相談したら相手を困らせてしまうのではないか」と堂々巡りに陥った末に、自ら命を絶ってしまう人もいます。根が優しく真面目な人ほど、周囲に助けを求められない。そうした悲しい最期を迎える現実が、特殊清掃の現場から透けて見えるといいます。

特殊清掃や遺品整理の現場では、故人が亡くなった瞬間から部屋の時間が完全に止まっていることを実感すると著者は述べています。キッチンやトイレ、ゴミ箱の中まで亡くなった当時のままの「生活感」が残され、遺品整理の中で家族写真や給料明細どころか、時には公共料金の催促状まで出てくることもあるそうです。特殊清掃の依頼者は主に近親者か家主で、その生の声を直接聞く中で一貫して見えてくるのは、表面的には普通の生活を送っているように見えても、精神的には完全に孤立していたという事実だといいます。

だからこそ著者は、本書を通じて読者自身や身近な人がそのような状態に陥っていないかを振り返ってほしいと考えていると語ります。そして、もし周囲にそうした人がいれば気にかけて手を差し伸べてほしい、そんなメッセージも込めたつもりだと述べています。

防護服をまとい清掃を行う著者
防護服をまとい清掃を行う著者

著者プロフィールと書籍情報

亀澤範行は、特殊清掃や遺品整理、事故物件の買取再販事業を行う関西クリーンサービスを展開するA-LIFE株式会社の代表取締役です。翠緑山禅祥院の住職も務め、孤独死を招く前段階の“孤立を防ぐ活動”を続けているほか、講演やメディアでも孤立や遺品整理の現状を伝えています。関西クリーンサービスは大阪・奈良・京都を中心に事業を展開し、事故物件を子ども食堂に再生した「カンクリキッズキッチン」の運営にも取り組んでいます。公式YouTubeチャンネル『関西クリーンサービス』の登録者数は約20万人です。

  • 書名:『ルポ孤独死の現場』
  • 著者:関西クリーンサービス 亀澤範行
  • 出版:幻冬舎新書
  • ページ数:232ページ
  • 発売日:2026年10月28日
  • 定価:1,100円

出典:A-LIFE株式会社