「宝石商リチャード氏の謎鑑定」の辻村七子、新作の舞台はオーダーメイドの服の世界 文庫オリジナル『神さまのオートクチュール』12月2日刊行

辻村七子さんの文庫オリジナル小説『神さまのオートクチュール』が、2026年12月2日(水)に文藝春秋から刊行されます。あわせてカバーも公開され、著者の辻村さんと装画を担当した佐藤アキヒトさんからコメントが届いています。
辻村さんの代表作「宝石商リチャード氏の謎鑑定」シリーズは、アニメ化もされ、累計発行部数は95万部を突破しています。きらめくジュエリーで読者を魅了してきた辻村さんが、最新作で描くのはファッションです。なかでも、唯一無二のオーダーメイドの世界が舞台になります。

寝不足の服飾学生が出会った、看板のないアトリエ
主人公は、東京服飾学校に通う茜です。「神さまのブランドがあるんだって」という噂話を、茜は寝不足でぼんやりした頭で耳にします。課題の提出は迫っていますが、苦学生の茜はアルバイトを休めません。深夜、学校からバイト先へ向かう途中で、茜は倒れ込んでしまいます。
そんな茜の前に見知らぬ男性が膝をつき、自分のアトリエを使っていいと手を差し伸べます。たどり着いたアトリエで彼の手技を目にした茜は、「まるで魔法……!」と息を呑みました。千載一遇のチャンスに、茜は思わず弟子入りを頼み込みます。
茜は、なんとか神楽という名のその男性の助手の立場を得て、専門学校に通いながらアトリエにも顔を出すようになります。ところが、そこはまったく奇妙な場所でした。看板も何もないアトリエには、クセモノぞろいの依頼人が次々にやってきて、無理難題をオーダーしていきます。さらに、なぜか神楽を執拗に追いかける等々力という男が現れ、フランスに帰ろうと神楽に詰め寄ります。
装画は『ルームメイト』の佐藤アキヒトさん
カバーと帯には、神楽、等々力、茜の三人が描かれています。装画を手がけたのは、コミック『ルームメイト』(徳間書店)でいま一躍脚光を浴びているマンガ家の佐藤アキヒトさんです。
佐藤さんによると、装画の依頼を受けたのは、連載中の『ルームメイト』でちょうど主役のふたりがファッション業界と関わる時期でした。身体性と社会性が入り組んだファッションという複雑な分野について、考えを巡らせていたところだったといいます。三人のキャラクターについては、次のように表現しています。
- 茜:繊細ながらも安心感のある、不屈の精神の持ち主
- 等々力・アントワーヌ・勇也:気持ちが良いくらい失礼で、神楽のことしか頭にない
- 神楽忍:自分の才能と魅力が周りに与える影響について、まったく考えが及んでいない罪な男
「年単位で調べもの」辻村七子さんのコメント
辻村さんは、文春の編集者からファッションの話を書いてみないかと提案されたとき、「私にできるだろうか」と不安だったと振り返っています。しかし、年単位で調べものを続けるうちに、その世界の奥深さに圧倒され、魅了されるようになったそうです。服は大胆なものから繊細なものまで千差万別で、そのすべてが商品であると同時に芸術品でもある点が、どこか小説と似ているとも語っています。作中の一点物の服をつくる職人・神楽、彼の背中を追って腕を磨く学生・茜、そして二人を見守る謎の男・等々力が躍動する「服」というフィールドを、読者と一緒に訪ね歩けたら嬉しいとコメントを寄せています。
辻村さんは2014年度ロマン大賞〈大賞〉を受賞してデビューしました。著書には「宝石商リチャード氏の謎鑑定」シリーズ、「京橋骨董かげろう堂」シリーズのほか、『ルマールの偽伯爵 ヤースレリア大陸物語』『博士とマリア』などがあります。
書誌情報
- 書名:『神さまのオートクチュール』
- 著者:辻村七子
- 装画:佐藤アキヒト
- 発売日:2026年12月2日
- 判型:文庫判 288ページ
- 出版社:文藝春秋(文春文庫)
- ISBN:978-4-16-7925925
出典:株式会社文藝春秋


