悲劇の幕臣・小栗忠順と「横須賀製鉄所」の全貌に迫る新書、有隣堂から12月15日発売

幕末最大の建設プロジェクトを、科学技術史の視点から読み直す
株式会社有隣堂(本社:神奈川県横浜市、代表取締役 社長執行役員:松信 健太郎)は、新刊『小栗忠順と横須賀製鉄所──幕末から明治へ「近代日本の礎」』を2026年12月15日(火)に刊行します。本書が取り上げるのは、幕末に非業の死を遂げた幕臣・小栗忠順と、彼が心血を注いだ「横須賀製鉄所」です。
著者は菊地勝広氏です。菊地氏は横須賀市自然・人文博物館で主査・学芸員を務め、近代建築史・産業遺産を専門としています。本書では小栗の足跡と横須賀製鉄所の全貌を、科学技術史の視点から捉え直します。技術支援を受けたフランス側の貴重な記録や紀行文・手紙も読み解き、歴史の陰に埋もれてきた小栗の先駆的業績と、製鉄所が果たした役割を明らかにしていきます。
功績が歴史の陰に埋もれてきた幕臣
黒船来航から明治維新へと続く激動の時代に、日本は開国を経て近代化への道を歩み始めました。その過程で重要な役割を果たした一人が、幕臣・小栗忠順(おぐりただまさ)です。小栗は幕府の中枢で外交交渉や近代技術の導入を牽引しました。しかし大政奉還後に知行地へ退いたのち、戊辰戦争の混乱のなかで、取り調べを受けることなく新政府軍によって処刑されます。その非業の死とともに、彼の功績は長らく歴史の陰に埋もれてきました。
その小栗が後世に残した最大の功績が、幕末最大の建設プロジェクト「横須賀製鉄所」の創設です。横須賀製鉄所は造船・修理だけでなく、機械製造や西洋式建築、技術者の育成など、幅広い機能を備えた施設でした。日曜休日制などの労働時間の管理といった、当時としては先駆的な制度も導入されています。こうした取り組みを通じて、製鉄所は日本の近代化・工業化を支える礎となりました。
本書の読みどころ
造船・建築から労働制度まで、日本の「ものづくり」の原点へ
横須賀製鉄所は造船施設にとどまらず、機械製造や建築、技術者の育成などを担い、日本近代産業の基盤を築いた一大拠点でした。本書は、当時技術指導にあたったフランス人技師の紀行文や貴重な史料を駆使し、往時の工場の熱気を臨場感豊かに再現しています。日本最古級のスチームハンマーの導入や日本初の洋式灯台建設などを取り上げ、現代に息づく日本の「ものづくり」の原点を、現場の実感が伴うリアルな姿として描き出します。
領民に愛された「悲劇の幕臣」の人物像
若くして遣米使節目付に抜擢され、ロシアとの領土交渉、軍制改革、四度にわたる勘定奉行就任など、小栗は幕府の最重要政策に携わった人物です。本書は製鉄所への貢献だけに偏らず、こうした小栗の先駆的業績の全体像を示します。
本書はさらに、小栗の温かな人間性にも光を当てます。終焉の地となった知行地・権田村(現・群馬県高崎市倉渕町権田)の人々を、小栗はなぜ深く愛したのか。そして村人たちから、なぜ命がけで愛され続けたのか。小栗は横須賀製鉄所の創設によって偉大になったのではなく、偉大な人物である小栗が携わったからこそ創設を成し得た。本書はそうした小栗の真の姿を浮き彫りにします。
目次
- 第1章 小栗上野介忠順 人と業績
- 第2章 最大の功績・横須賀製鉄所
- 第3章 日本の近代化・工業化に果たした役割
- 第4章 明治日本の技術力を支えた「小栗忠順と横須賀製鉄所」
著者プロフィールと書籍情報
菊地勝広(きくち・かつひろ)氏は1972年、宮城県生まれです。横須賀市自然・人文博物館の主査・学芸員で、博士(工学)の学位を持ちます。専門は建築史学・近代建築史で、横須賀製鉄所・造船所を中心に、近代日本の建築・土木技術や産業遺産を研究しています。これまでに、横須賀製鉄所創設150周年記念展「すべては製鉄所から始まった―Made in Japanの原点―」などを手がけてきました。
- 書名:『小栗忠順と横須賀製鉄所──幕末から明治へ「近代日本の礎」』
- 著者:菊地勝広
- 出版社:有隣堂
- 定価:1,210円(税込)
- 体裁:新書並製・本文192ページ
- ISBN:978-4-89660-268-5
- 発売日:2026年12月15日(火)
- 取り扱い:有隣堂各店(一部店舗除く)、全国の書店
出典:株式会社有隣堂


