直木賞候補作家・荻堂顕の新作長編『あいされるためのたたかい』発売 43歳の「おれ」が挑むのは“永遠の美少女”をめぐるデスゲーム

文学賞での受賞や候補入りが続く作家・荻堂顕さんの新作長編『あいされるためのたたかい』が、10月28日(水)に新潮社から刊行されました。待望の長編6作目となる本作の題材はデスゲーム。新潮社は「まだ誰も読んだことのない究極のデスゲーム小説」と打ち出しています。

ジャンルを横断してきた荻堂顕、長編6作目はデスゲーム
荻堂さんは2020年、『擬傷の鳥はつかまらない』で第7回新潮ミステリー大賞を受賞してデビューしました。その後も文学賞での評価が続いています。2023年には『ループ・オブ・ザ・コード』が山本周五郎賞候補に、2024年には『不夜島』が日本推理作家協会賞を受賞しました。さらに2025年には『飽くなき地景』で吉川英治文学新人賞を受賞し、直木賞候補にもなっています。ミステリを軸にしながら、ファンタジーや近未来SFなどジャンルをまたいで作品を発表してきた作家です。
新作の主人公は、誰からも愛されず、父親のクレカを頼りに生きている43歳の男「おれ」です。ある日、VR空間で謎の美少女リメンバランス・スケールと出会います。そして「無限の承認と愛が約束された永遠の美少女」になるための地獄のバトルロワイヤルに突然参加させられ、やがて世界を巻き込む壮大な事態に巻き込まれていきます。
ポップカルチャーを“サンプリング”した独自の世界観
あらすじだけを読むと突飛にも思える物語です。ただし新潮社は本作を、フィクションの技法で現代社会のリアルで多種多様な〈痛み〉や〈弱さ〉を鋭く描く、荻堂作品ならではの魅力が詰まった一冊だと説明しています。あわせて、小説だから、デスゲームだからこそ可能になるテーマ性とエンターテイメント性を突き詰めた作品だとも紹介しています。
もう一つの大きな特徴は、ゼロ年代以降を中心とした小説・漫画・アニメ・ゲーム・ネットミームなどの固有名詞を作中に“サンプリング”している点です。これによって唯一無二の世界とグルーヴが生まれています。新潮社は、ポップカルチャーを横断しながら現代社会の実相を描き出す「ハイブリッド文学の極北」とも位置付けています。
作中には、美少女志願者(カクレクマノミ)との死闘、厚生労働省・愛の再分配課の暗躍、ネオぶつかりおっさんといった要素が登場します。「おれ」は半ばヤケクソで即座に参戦を決めますが、その先には現実をしのぐ“クソゲー”と圧倒的な孤独が待ち受けています。
書評家・批評家・書店員から寄せられたコメント
「波」2026年11月号に掲載された評の抜粋が公開されています。書評家のあわいゆきさんは、本作を「誰ひとり疎外しない傑作エンタメ」と評しました。批評家の江永泉さんは、ラノベのように軽快に読める物語の中に、著者の十八番である社会派めいた記述や資料参照も、古典やネットミームの引用と同様に、これまで以上に全力で盛り込んだ一冊だと紹介しています。そのうえで、本作を「弱者男性のための児童文学」、「「弱男(じどう/おじ)」文学」と表現しました。
全国の書店員からもコメントが届いており、その一部が抜粋して紹介されています。
- 紀伊國屋書店 新宿本店の新井沙佑里さん:「とことんぶっ飛んだ世界観なのに胸に迫ってくるのは、愛されたい、認められたい、別の自分になりたい、という誰もが抱える切実な願い」
- 明屋書店営業本部 商品課の山崎裕也さん:「圧倒的な共感(性羞恥)と孤独にあなたは耐えられるか!?」
- ジュンク堂書店 滋賀草津店の山中真理さん:「社会の問題、人生の問題をものすごい角度から掬いあげている」
- 紀伊國屋書店 福岡本店の宗岡敦子さん:「誰もが渇望する『愛』という感情。それを求めるために、人はどこまで闘い、どこまで傷つくのか」
- 田村書店 吹田さんくす店の村上望美さん:「人によっては、奇書であり、聖書であり、教科書でもあると思う」「近年稀に見るほど美しい、ラスト一行」
書籍情報
荻堂顕(おぎどう・あきら)さんは1994年生まれです。第四作『飽くなき地景』では、第172回直木賞候補と第16回山田風太郎賞候補に選ばれ、第46回吉川英治文学新人賞を受賞しました。ほかの著書には『いちばんうつくしい王冠』などがあります。
- タイトル:あいされるためのたたかい
- 著者:荻堂顕
- 発売日:2026年10月28日
- 造本:四六判ソフトカバー
- 定価:2970円(税込)
- ISBN:978-4-10-353823-3
- 発行:新潮社
出典:株式会社新潮社


