日本の美術館も騙された贋作事件に迫る――畠山卓也『贋作師ベルトラッキ』が10月21日(水)発売


「日本にはもっと多くの私の絵がある」と語る贋作師
NHK「未解決事件」をはじめ、民放各社でも取り上げられたドイツ人贋作師、ベルトラッキ。名前に聞き覚えがなくても、徳島や高知の公立美術館が税金を投じて購入した贋作の作者だと聞けば、思い当たる人もいるかもしれません。その人物と、史上最大の贋作事件の全貌を描いたノンフィクション、畠山卓也著『贋作師ベルトラッキ』が、10月21日(水)に新潮社から刊行されます。
ベルトラッキ本人は、これまでに120人の画家、計300枚の贋作を制作したと豪語しています。被害は全世界に及んでいます。日本でベルトラッキの贋作と疑われている作品は、現時点では3点です。しかし、取材に訪れた著者に対して、彼は「私は確信しているよ。日本にはもっと多くの私の絵があるとね」と言い切りました。何が「真」で、何が「嘘」なのか――。
模写ではなく、画家に「同化」する手口
「贋作」と聞くと、有名な画家の作品をそっくりそのまま真似て描く行為を思い浮かべる人が多いでしょう。ところが、ベルトラッキの手口はより巧妙でした。画家に「同化」していくという手法を用い、大手オークションの鑑定プロセスや専門家たちの知識さえも、軽々とあざむいていったのです。
宗教画の修復師だった父、才能を見出した義兄、そして販路を広げた妻。さまざまな人との出会いや影響を経て、ベルトラッキはどのように稀代の贋作師となり、史上最大の贋作事件を引き起こしたのか。多くの事件関係者のもとへ足を運び、膨大な資料を読み込んだ著者が描く、渾身のノンフィクションです。長時間にわたる本人へのインタビュー、事件に関わった人々への取材、そして膨大な資料から解き明かされる真相とは何か。
目次の構成
本書はプロローグ、第1章から第4章、エピローグ、あとがきで構成されています。各章のタイトルと、見出しの一部は次のとおりです。
- 第1章「史上最大の贋作詐欺」:「高級住宅街に越してきた謎の男」「『日本にはまだ多くの贋作がある』」「カタログ・レゾネが残した『空白』を突く」「自作の窯で行った『老化処理』」「ナチスの芸術狩りも巧みに利用」「祖母に扮した『証拠』写真」など
- 第2章「徹底追跡」:「ベルリンの『刑事コロンボ』」「『伯爵』と呼んでいた共犯者」「『決め手』となったチタニウムホワイト」「土砂降りの雨のなかの逮捕劇」「美術史家にも支払われた多額の手数料」など
- 第3章「『私たちは歴史を作った』」:「父からすすめられたピカソの模写」「『投資』を惜しまなかった義理の兄」「結婚によって『完成』した贋作師」「贋作師が販売する『鑑定書』つきのアート」など
- 第4章「閉じたサークル」:「贋作を収蔵することに意味があるのか」「AIの正確性にも疑問符」「岡山県で見つかった新たな贋作」「『乳白色』で知られた日本人画家も」「『美術館には本物を見せる責務がある』」など
著者は共同通信の記者・畠山卓也氏
著者の畠山卓也(はたけやま・たくや)氏は、1982年三重県生まれ。共同通信外信部の記者で、東京大学教養学部(表象文化論)を卒業しています。北九州、前橋、高松、大阪の各支社局・分室、イスラマバード、カブール支局長、経済部記者を経て、2025年11月までジュネーブ支局長を務めました。
書籍の詳細は以下のとおりです。
- タイトル:贋作師ベルトラッキ
- 著者名:畠山卓也
- 発売日:10月21日(水)
- 造本:四六判変小
- 定価:2090円(税込)
- ISBN:978-4-10-357251-0
- 出版社:新潮社
出典:株式会社新潮社


