大学生1,500人超が関わったNPOの15年が一冊に——『陸前高田 場所と風土をつなぐ』10月25日発売

東日本大震災から15年目を迎えた岩手県陸前高田市。この町で続けられてきた草の根の営みをまとめた書籍『陸前高田 場所と風土をつなぐ ―「小文字の復興」の実践』が、古今書院から2026年10月25日(日)に発売されます。認定NPO法人SETの理事長・三井俊介は、本書の第2部第6章「認定NPO法人SETの実践と広田町の変容」を担当し、広田町で重ねてきた15年の歩みを記録しています。

「大文字の復興」と並走した「小文字の復興」を記録する
本書は、行政が主導する大規模な復興事業を「大文字の復興」とし、それと並行して市民や移住者、訪問者が積み重ねてきた草の根の取り組みを「小文字の復興」と位置づけています。そうした実践を、土地の歴史や文化と交差させながら書き残すことが本書の目的です。
企画・編集を主導したのは、お茶の水女子大学名誉教授の熊谷圭知。地元の市民を含む、さまざまな立場の執筆者が参加しています。
三井俊介が広田町への移住を決意した転機となった、ある住民の言葉
活動が半年を過ぎたころ、三井は地域のある住民から次のような言葉を受けました。
「50年後、この町はなくなってしまうかもしれない。それは震災が起ころうが起こらまいがそうだったんだ。(中略)でも、震災前には来てなかったおまえらみたいなやつらがたくさん来てくれている。これはチャンスなんだ。悲しいことはあったけど、チャンスに変えて、これからも残り続ける町をつくっていかなければならないんだ。それが生かされた俺たちの役割なんだ。この5年が勝負。」
第6章で三井は、この言葉が、大学卒業後に広田町へ移り住むと決める転機になったと記しています。
学生7人から始まった15年の歩み
大学生・中高生・高校生へと広がった取り組み
SETは2011年3月に学生7人で立ち上げられ、同年4月上旬に陸前高田市へ入り、広田町に通うようになりました。第6章では、そこから始まった地域との15年間を、当事者の目線でたどっています。主な取り組みは次のとおりです。
- 「Change Maker Study Program(CMSP)」:2013年3月にスタートした、大学生が半年間かけて地域課題の解決に挑むプログラム。2026年現在、広田町・小友町・気仙町・横田町・矢作町の5地域で展開され、これまでの参加者は1,500人を超える
- 修学旅行民泊事業:2016年に開始。新型コロナウイルス流行による中断を経て2022年9月に再開し、累計でのべ17,000人の中高生を受け入れてきた
- 「高田と僕らの未来開拓プロジェクト(たかぷろ)」:2015年に始まった高校生向けのプロジェクト。2025年に「NPO法人miraito」として独立した
当事者として書き残す意味と、これから
SETにとって本書は、行政の統計や外部の研究者の視点だけでは捉えきれない「場所と人の関係の変化」を、当事者として書き残す機会になりました。今後も広田町をはじめとする陸前高田の各地域で、若者と地域住民が関係を育む実践を続けていくとしています。
SETは「一人ひとりの”やりたい”を”できた”に変え、日本の未来にGoodなChangeを起こす」をミッションに掲げ、岩手県を中心に、修学旅行民泊や大学生・社会人向けプログラム、地域コミュニティづくりなどに取り組んできました。2024年度には年間5,000人以上が参加し、現在は岩手県のみならず複数地域で活動を展開しています。過去に内閣総理大臣賞を2度受賞しているほか、多数の受賞歴があります。活動の様子はFacebookやInstagramでも発信されています。


